スイス・レーティッシュ鉄道ファンのブログ

スイス・氷河特急を走らせるレーティッシュ鉄道をテーマにしたブログです。

五能線の旅 10 <秋田内陸縦貫鉄道 鷹ノ巣→阿仁マタギ>

 私がこの地を訪れるきっかけは、熊谷達也著「邂逅(かいこう)の森」(2004年直木賞受賞)
というマタギを描いた小説でした。
1890年(明治23年)生まれの小作の子が主人公。
山深い地で耕地も少なく、狩猟を生業とする人々を描いています。

マタギは、巻き取りと言う方法で熊を取ります。
 スカリと呼ばれる首領の指示に従い、
セコが熊を追い、ブッパが鉄砲で撃ってしとめます。
 農耕に慣れ親しんだ私としては、とても、神秘的な生活形態に興味を持ちましたが、
まさか、この地を訪れるとは思っても見ませんでした。

 この旅行を計画する時、
家内が「五能線に乗った後、乳頭温泉に行きたいけど、その間にどこか良いところはないかな?」
と、言いますので、このマタギの里を思いつきました。
 秋田内陸縦貫鉄道は、テレビの旅番組でも時々紹介されているようです。

 

秋田内陸縦貫鉄道 AN-8800系

 さて、鷹ノ巣からは「秋田内陸縦貫鉄道」に乗ります。

この鉄道は1922年(大正5年)に計画されました。
計画は、鷹ノ巣から山間部を通って角館までの94.2kmですが、
阿仁合にあった江戸時代から続く阿仁鉱山の銅を運搬するのが主たる目的だったようです。

1905年(明治38年奥羽本線全線開通(福島⇔青森間)

1934年(昭和9年鷹ノ巣→米内沢   15.1km 開通
1935年(昭和10年)米内沢→阿仁前田 10.2km 開通(累計25.3km)
1936年(昭和11年阿仁前田阿仁合  7.8km 開通(累計33.1km)
それから27年後の
1963年(昭和38年)阿仁合→比立内  13.0km 開通(累計46.1km)

1970年(昭和45年)松葉→角館    19.2km 開通

あと29kmで全線開通と言う時に(7割方出来た)

1978年(昭和53年)阿仁鉱山が閉山してしまいます。

この後、全国的にも国鉄の赤字が問題化し、
組み合いつぶしも兼ねて国鉄の分社が1987年(昭和62年)行われました。
(これで日本の労働運動は終わりました。)
 これで、地方鉄道になりましたが、地元では、開通させようと言う意向が強く、
1989年に全線開通しました。

でも、阿仁鉱山なきあとは、沿線人口も減っています。
ここ10年の乗車人数推移は次のとおり
2013年度 173,153人
2014年度 158,692人
2015年度 159,551人
2016年度 134,354人
2017年度 147,577人
2018年度 149,999人
2019年度 155,286人
2020年度  78,193人
2021年度   76,617人
2022年度   98,285人
2020年からのコロナ禍の影響が現れていますね。
 これをもとに最大収入を考えてみます。
乗車人数を150,000人
運賃 鷹ノ巣⇔角館1,700円、急行料金320円
最大運賃2020円で15万人が乗ったとすると
年間最大運賃約3億円。
2022年度の決算書から営業費用をみると約6億円も
かかっているので、営業赤字には変わりありません。

特別利益に 補助金2億円、鉄道施設建設等補助金約3億があって
成り立っているようですが、自立には程遠いでしょうね。

山間部なので、今後も事前災害の発生確率が高く、
もし、大きな災害に見舞われたら、
残念ですが、存続は風前の灯でしょう。

もし、観光客(中国からの)を目当てにするなら
中国を敵に回さないで、仲良くする政治が必須になります。

 

 さて、今回、乗車する列車は「急行 もりよし号」
2両編成ですが、前の1両は貸し切りです。
車両AN-8800系には、「又鬼」のヘッドマーク
1988年に運転を開始された車両。(前出)

AN-8800系 仕様書

   この車両は重量が30t、出力が250PS パワーウエイトレシオ120kg/PS
普通乗用車は重量が1.5t、出力が150PS パワーウエイトレシオ 10kg/PS
桁違いのパワーウエイトレシオです。
乗用車が高性能の割りに乗車人数が少なく、環境負荷が大きく、贅沢な乗り物かと言うことがわかります。

 

秋田内陸縦貫鉄道 AN-8900系

 後の車両AN-8905には、「笑」のヘッドマークが着いています。
1989年に5両製造されましたが、うち4両は方運転台、8905番は両運転台です。
 片運転台2両編成は、奥羽本線を通って青森まで直通運転をしたことがあるようですが、2021年に運用終了となりました。

 

秋田内陸縦貫鉄道 AN-8900系 室内


さて、AN-8905私たちが乗る車両です。
車両内部は、車両前後にクロスシートが3枡、中央部に窓向きのシートが3人掛け×4席あります。

AN-8905 窓向き3人掛けシート

 

雨の車窓を眺めていると、車両基地がありました。

阿仁合駅に隣接。

阿仁合車両基地

AN-8900系 片運転台 以前は奥羽本線を通って青森まで運転されていました。

 

雨の中、お見送りありがとうございます。

車内販売さんが来られたので「りんごっこ」ジュースを買いました。

車両後部の景色

 

阿仁マタギ駅に到着

秋田内陸縦貫鉄道 阿仁マタギ駅 駅前広場

今夜の宿舎、「マタギの湯」から送迎の車が来てくださり、

本日の宿に到着。

打当温泉 マタギの湯

マタギの湯 客室 ベッドが二つ 掘りごたつもあります。

窓の外には打当川が流れています。

第10話が終わりました。

まだ、二日目なのに、

お付き合いありがとうございます。

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